ギラヴァンツ北九州は3月20日、
ホームスタジアムの本城陸上競技場で、
三浦泰年監督率いる東京ヴェルディと対戦。
攻守の切り替えが早い試合展開になったが、
スコアは大きくは動かず、
1-1で勝ち点1を分け合った。
J2 第4節 橋本食品マッチデー
ギラヴァンツ北九州 1-1 東京ヴェルディ
3月20日(祝)本城陸上競技場
得点者:前半23キム(北九州)、前半37高原(東京V)
黄砂と春霞に煙る本城のスタジアム。
鈍色の空をそのまま投影したような、
霧中を漕ぐ試合だったかもしれない。
試合の流れを最初に掴んだのは
ギラヴァンツ北九州(北九州)だった。
東京ヴェルディ(東京V)の
落ち着かない立ち上がりをうまく突いた。
前半13分に東京Vのクリアミスを拾い、
FWキム・ドンフィがエリア内からシュート。
これは左に外れてしまうが、
得点の匂いが早くも漂い始める。
そして次のビッグチャンスとなった23分、
MF内藤のアシストを受けて再びキム。
ペナルティエリア内が混雑する中を
冷静にゴールへ送り込み、J初ゴール。
北九州が先制点を手にする。
しかし、リードは続かない。
東京Vの同点ゴールは前半37分。
左サイドからのクロスを
まずは常盤が得て左足でシュート、
これは北九州DFが跳ね返すが
こぼれ球をFW高原が振り抜き、
試合はふりだしに戻る。
同点で迎えた後半の立ち上がり、
北九州はFW渡を投入。
前半以上に攻守の入れ替わりの早い
オープンな展開となっていく。
後半16分には、
ゲームを落ち着かせる役目を負って
MF森村が今季初めてピッチへ。
ただこの交代には疑問符が付く。
がむしゃらさが武器の渡を投入後に
パサーの森村をサイドハーフに入れるのは
ちぐはぐな印象を受ける。
仮に渡の裏へ抜ける動きを生かすなら、
陣形を組み替えて、トップ下など
決定的な仕事ができる場所に
森村を置くべきだったと思う。
もっとも、
このカードを切ったからといって
相手を利したわけではない。
東京V・三浦監督は今年も
パスサッカーを志向しているはずだ。
だが、浸透はまだできていない。
三浦サッカーを十二分に理解している
GK佐藤、DF金鐘必、DF福井がいる
ボトムではボールを動かせているが、
中盤以降はサイドに開いてのクロスや、
長めのボールを高原が受けるかたち。
ペナルティエリア内まで
しぶとく繋いでいたわけではなかった。
フィニッシュまで
しっかりと繋げるようになるには、
まだまだ時間がかかるだろう。
そういう東京Vの事情もあって、
結果として双方とも
中盤でのボールの動かし方が不安定。
北九州の交代策も試合を握らなかった。
終了間際のアディショナルタイム、
北九州はMF松本陽が技ありのミドルを放つも
惜しくもクロスバーを叩き
ゴールネットは二度は揺れなかった。
さて、北九州の今後だ。
この試合では、
東京Vがまだ未完成であったために
助かったと言っていいだろう。
GK武田博、DF前田、DF宮本の
ハードワークでクロスをしのいだが、
繋いでくるチームが増えてくると、
最底辺の踏ん張りだけでは効かない。
起点へのアプローチは
今以上に強めなければならないし、
攻撃面においても
ボールを失った場合を想像し、
個々人のリスク管理も徹底したい。
とはいえ、
恐れから出足が遅くなることも避けたい。
MF内藤の攻撃への貢献は特筆すべきだし、
MF小手川、FW柿本も持ち味を出している。
良さを失わずに積み上げられるか、
連戦と、難敵との対戦は、
指揮官とチームの地力をはかることになる。
東京Vはパスサッカーの浸透を急ぐ。
改めて実感したことといえば、
昨シーズンの北九州でカギを握った
木村(大分)、新井(甲府)、端戸(横浜M)らの
果たした役目の大きさだった。
適切な表現ではないかもしれないが、
GK佐藤のキックを木村が受けていたら、
あるいはトップ下で端戸が引き出していたら。
この3月の時点で手のつけられない
タフで厄介なチームになっていただろう。